サボ島沖海戦は、1942年10月11日深夜~12日にガダルカナル島北端の北東にあるサボ島北西方面で、
ガダルカナル島に対する重火器の輸送を図るため、ヘンダーソン飛行場を砲撃し迅速な輸送を支援する
第六戦隊を基幹とする艦隊と、ガダルカナル島周辺海域を警備する米艦艇との戦闘。
第六戦隊の重巡「青葉」「古鷹」「衣笠」、駆逐艦「吹雪」「初雪」は、
ガダルカナル島のヘンダーソン飛行場に対し艦砲射撃を実施するため戦闘海域に接近します。
第六戦隊司令官五藤存知少将は、これをガダルカナルへの輸送部隊の
水上機母艦「日進」「千歳」・駆逐艦「秋月」「夏雲」と間違えてしまいます。
なんでも、発見した艦影の中に輸送隊の「日進」などに類似した艦影があったそうな・・・。
距離7000mで見張り員から「前方の艦影は敵艦」と報告があったのに、なんの警戒態勢も取りませんでした。
その上、敵味方確認の為に発光信号で確認を取らせる始末。
五藤司令官の脳裏には、ひょっとして第一次ソロモン海戦の大勝がよぎり、
「米艦隊など恐るるに足らず」と言うのがあったのかも・・・。
しかし今度は違ってた。
敵はレーダーを最大限発揮し、また青葉の発光信号で位置を確認してから砲撃を加えています。
青葉は集中砲火を浴び、艦橋は破壊され戦隊司令部は一瞬で壊滅。
青葉は40発以上の命中弾を受けて上部構造物は原形をとどめず、
しかし機関は無事だったので煙幕を展張して、全速で避退に移った。
次に標的となったのが「古鷹」。
命中した砲弾で魚雷が誘爆。
それでも古鷹は砲撃を継続し、米巡洋艦「アトランタ」に損害を与えます。
しかし魚雷誘爆の火災が、古鷹を敵から丸見えにしてしまったのでさらに集中攻撃を受け、沈没。
「衣笠」と「初雪」が反撃し、巡洋艦「ボイシ」「ソルトレイクシティ―」に損害を与えてから離脱します。
青葉の左前方を航行中だった「吹雪」も当然に集中砲火を浴び、弾薬庫爆発により轟沈してしまいます。
この後、「古鷹」救援に向かった輸送隊の「夏雲」「叢雲」が米軍機の空襲で沈没してしまいます。
この海戦だけ見ると帝国海軍の惨敗ですが、
輸送隊は無事にガダルカナル島へ物資を陸揚げ出来たし、
米軍の損害は駆逐艦「ダンカン」沈没、巡洋艦「ボイシ」大破、巡洋艦「ソルトレイクシティー」小破、
駆逐艦「ファレンホルト」大破となり、損害を被った他の米艦隊もルンガ沖から退避しており、
その間に第三戦隊(金剛、榛名)による10月13日ヘンダーソン基地艦砲射撃が実施されているので、
戦略的にはまずまずと言ったところでしょうか。
参考資料です